本稿で用いるデータは厚生労働省が公開しているものを基礎としており、集計したデータはGitHubに置いてあります。
厚生労働省のウェブページ『新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年3月4日版)』によると、おそらく3月3日時点から、クルーズ船の情報の集計が公開されたようです。3月15日掲載分の『国内における新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施状況(結果判明日ベース)』で3月13日時点までの集計が公開されています。
これらの集計の区間をかんがみて、3月3日から3月13日までの11日間について、検査人数と検査件数の関係を見ていきます。
厚生労働省が3月2日に発表した集計と3月13日に発表した集計を比べます。
| 日付 | 検査人数 | PCR陽性者 |
|---|---|---|
| 3月2日 | 1796人 | 239人 |
| 3月13日 | 11231人 | 659人 |
| 増分 | 9435人 | 420人 |
3月4日にそれまでの積極的疫学調査の調査数が含まれるようになったので、11日間で9435人が検査されたとみなすことはできないようです。そこで前回の概算を用いて、11日間の検査人数を推定します。
PCR陽性者数 \(\div\) 13.6% \(\div\) 43% \(\fallingdotseq\) 7200人
13.6%は、お医者さんがPCR検査が必要と判断した場合に陽性と判定される確率を概算した値です。43%はPCR検査人数全体に対して、診断由来の人数の割合を概算した値です。3月4日の検査人数の増分3835人のうち、2200人くらいがその前の週の増分だというかんじになります。なんとなく、そんなにまちがっていなさそうな気がします。
3月15日掲載分の『国内における新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施状況(結果判明日ベース)』で検疫所を除く11日間の検査件数は13448件でした。引き算をすると、新規でない検査が6200件程度行われたと推測できます。
厚生労働省によればPCR検査で2回陰性が確認されたら「症状が消失した」とみなされるようです。つまり、PCR検査で陽性になった場合、すくなくとも2回以上の検査が行われると理解できます。たいへんです。
11日間の入院等の人数を数えてみます。PCR陽性者数から退院者数と死亡者数を引いた人数で、入院待機中や症状有無確認中を含むようです。国内事例だけでなく、チャーター便・クルーズ船事例も数えます。
合計のグラフを観察すると、入院等の人数は平均720人くらいで推移していたようです。本来は、入退院や無症状・軽症〜中症・重症を考慮するべきですが、すごく大雑把に入院等の人数の8割弱の件数を検査していたといえなくもなくもなくもないようです。
PCR検査件数のうち、半分強が新規の検査で、残りはPCR検査陽性者に対する2回め以降の検査であろうと概算しました。前回、検査人数の半分が診断由来と概算したので、検査件数で考えると1/4程度が診断由来という計算になります。